2017年10月19日放送のMBS/TBS『プレバト』俳句コーナー。
写真のお題は「綱引き」。
番組で実際に使用された写真は、綱引きの足元だけ写っていたので、引いているのが小学生なのか分からなかったが、おそらくは小中学生。
では、紹介・発表された順に出演者が詠んだ句をどうぞ。
第2位: 女優 波乃久里子
評価: 73点 才能アリ
【本人作】: 走り終え サンダル探す 運動会
【添削後】: (添削なし)
作者の意図:
- 甥が幼稚園の時に運動会を観戦していたら、急遽父兄として出場してくれと言われ、サンダルを脱いではだしで参加した想い出。
添削のポイント:
- フルーツポンチ村上の作風に似ている。初めての作とは思えない(東国原コメント)。
- 走り終え~運動会、はどこにでもある。しかし中七で種目まで見えてくるよう。
- また運動会をやっている最中ではなく、終わった後をアリアリと描いている。オリジナリティに溢れている。
個人的な感想:
- ウィットが効いていて面白いと思ったが、うーん73点か?
- 最後にサンダルで締めた方が、余韻が残った気がするが。
第4位: 麒麟 川島明
評価: 50点 凡人
【本人作】: 母の愛 ひじきを笑うな 赤とんぼ
【添削後】: 弁当の ひじき笑うな 赤とんぼ
作者の意図:
- 運動できない人間には、運動会のお弁当が楽しみ。楽しみにしていたのに、開けてみたらひじきとか筑前煮など渋いラインナップ。隠れて食べているんだが、とんぼに見られて恥ずかしい。
添削のポイント:
- 運動会のシーンが伝わらない。ひじきは春の季語。強弱がついているので赤とんぼとの季重なりは許容範囲。(東国原コメント)
- 母の愛は説明的。読み手に気付かせるべきことを直接書くのは野暮。
- 赤とんぼを運動会に変えても良いが、母の愛が伝えたいことであれば、赤とんぼをそのまま残し、郷愁感を出すのが良いかも。でも凡人。
個人的な感想:
- 「母の愛」で始まって、読む気を失くす句だった。
- ひじきを赤とんぼに見られて恥ずかしいという発想は、何だか共感できる。これも語順を変えればもっと良くなったかも?
第3位: キスマイ 宮田俊哉
評価: 65点 凡人
【本人作】: 力む手と 火薬の匂いの 運動会
【添削後】: 力む手に 火薬の匂う 運動会
作者の意図:
- 綱引き=力を入れる。ジャニーズでも運動会をやっているが、火薬の匂いがにおうなぁと思い出した。
添削のポイント:
- 火薬の匂いやピストルの音が凡人。中八になってる。(東国原コメント)
- 感触と匂いで運動会を表そうとしたのはOK。だが中八がダメ。
- 臨場感を出すなら、力む手「に」にした上で、手に「匂っている」とした方が運動会に生々しさが出ている。
- 元の句だと、運動会を定義しようとしていて、運動会に参加している臨場感が出ない。
個人的な感想:
- 私も「と」でつなぐのが最も気になった。
- 添削のポイントは納得できる。だが、添削後を写真なしで読むと、ピストルを使い慣れていない小学生の係りの子が力みながらスタートのピストルを発射している意味にならないか? 綱引きとはつながらない。
第4位: 歌手 鈴木亜美
評価: 35点 才能ナシ
【本人作】: 金色の 在りし日思う 悔し泣き
【添削後】: 夕暮や 運動会の 悔し泣き
作者の意図:
- 高学年に入ったら成長期に入って、かけっこが遅くなって、陽が沈むころに泣いていた。
添削のポイント:
- 全て抽象的で映像が欠片しかない。上五~中七で運動会だと分からないし、季語もない。
個人的な感想:
- 金色=夕暮れ、夕暮れ=振り返る、夕暮れ=物悲しい。上五、中七、下五全てイメージが重複していて、言葉を並べているのに薄っぺらくなってしまった。
- 「夕暮や」よりも、悔し泣きした人物を描写した方が、ストーリーに奥行きが出たのでは?
第1位: 筋肉タレント 武井壮
評価: 75点 才能アリ
【本人作】: 子らの引く 綱の雄々しく 匂ひけり
【添削後】: (添削なし)
作者の意図:
- 陽に当たった地面から立ち上る土煙。まだ小さい子なのに、雄々しく感じられる。
添削のポイント:
- 季語が無い。綱引きは新年の季語。だが子らが引くので、全体で秋の運動会をイメージさせている。(東国原コメント)
- 綱引きは新年の神事が発祥。
- 雄々しくが匂ひけりにつながっている。綱引きや土埃が匂ってくる。けりでパンと止めているのも良い。
- 季語ではなく、季感を出している。語順を工夫することで季節感を読み手に伝えている。
個人的な感想:
- 添削でもコメントがあったが、「雄々しく」と「匂ひけり」のつながりが、ギャップと鮮度の良さを感じさせる一句。
名人4段: 東国原英夫
評価: 現状維持
【本人作】: 運動会 テントの中の 車椅子
【添削後A】: 運動会 テントに小さき(ちさき) 車椅子
【添削後B】: 運動会 テントにぽつんと 車椅子
【添削後C】: 運動会 放送席の 車椅子
作者の意図:
- 読み手を信じた。車椅子に乗っているのか乗っていないのか。乗っていないなら、たぶん関係者の横に座っているのかな。出場できなくて悔しい思いをしているのかな。と読み手に想像させた。
添削のポイント:
- 中七の描写が雑すぎる。特に「の中」がセンスない。車椅子の表情を書くべき。
- 添削後Aであれば、体操服を着ている子供がちょこんと座っているイメージ。
- 添削後Cであれば、出場できないが放送を手伝っている子供の様子。
個人的な感想:
- 「放送席の車椅子」が最もストーリーに奥行きを感じる。
- 作者オリジナルの句は、正直テントの中という場所情報がなくても、句が成立してしまい、意味がないのが残念。
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