ドラマ『トラップ』に見るアイスランド経済

2017年10月9日、翌年のサッカーワールドカップ(ロシア開催)の欧州予選で、アイスランドが見事1位通過し、初のWカップ出場を決めたと報じられた。日本のメディアでは「アイスランド初」以上に「たった33万人の人口しかいない小国アイスランド」と讃えていた。

アイスランドって、名前は知ってるけど国の特徴について何も知らない。そんな最中、たまたま私はアイスランド発・世界的にヒットした犯罪ドラマ『トラップ~凍える死体』(英題:Trapped、原題:Ófærð)を視聴しているところだった。

このドラマ、観ているこちらの身が凍えそうになる景色なんだよね。

せっかくなので、アイスランドのトリビアについて備忘録をまとめておこうかな、と(ドラマのネタバレなしで)。簡単に言うと、

  • アイスランド国の人口34万弱は東京都新宿区民とほぼ同数だが、面積10万km2強岐阜県青森県とほぼ同じ広さ
  • その中でも、このドラマの撮影地セイジスフィヨルズルは人口700人弱で、面積はさいたま市や大阪市とほぼ同じ広さ(むっちゃ過疎やん)
  • アイスランドは1人当たりGDP日本の2割以上高い(2016年最新データ)
  • ところが20世紀までは、アイスランドは欧州最貧国と言われていた
  • しかも貧富の格差が少ないランキングで、アイスランドは世界5位(2016年の国連レポート)
  • 人口200万人以下の小国で、独自の通貨を有し、かつ変動相場制を採用できている通貨は世界にアイスランド・クローナだけ
  • 2008年10月のリーマンショックにより、アイスランド・クローナの価値は暴落した(2000年代初頭には1ユーロ=70クローナ程度だったのが、リーマンショック後には1ユーロ=180クローナ超に)
  • お陰で輸出が有利になり、リーマンショックから急激に経済回復
  • 電力の約90%を地熱発電と水力発電が占め、特に地熱は屋内暖房の9割以上や公営の温水プールなどに用いられている

なんでこんな極寒の地に好んで住み、人口が少ないのに経済力が高いのか?

そしてその経済力は実態を伴っているのか、それとも表層的なのか?

アイスランドの人々はどのような暮らしを送っているのか?

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